#9 自分の心に土台を作る

トレードのメンタル

(このコラムは連載になっています。)前の記事 #8ピンチの脱出法を読む

このコラムが役立つ人

・トレードには必勝法があると思い、探し続けている人
・トレードで勝つと調子に乗って大きなリスクを取ってしまう人
・一日中トレード画面と睨めっこしている人

自分の心を司るもの

株取引は非日常の世界です。
短期間で大きな利益を上げることもあれば、何日もかけて、
収益が上がらないばかりか、大きな損失を被ることも多々あります。
会社に勤めて、時間当たりで給与を得るのとは全く違う世界です。

投資を始めた当初は、会社勤めで給与収入の方がほとんどです。
そして、株式投資で初めて味わう、「かけた時間と収益が一致しない状態」に
心を悩まされるのです。

しかし、リスクを取ることに慣れてくると、逆に会社勤めのような一定の業務で
一定の収入という世界に満足できなくなっていきます。
安定という世界から、リスクをとってより高いリターンを得ることができる快感を
知ってしまったからだと思います。

このような感情は、人間の脳の仕組みを理解することで、扱いやすくなってきます。
人間の脳は様々なホルモンを生成しています。
そして人が幸せだと感じるため作用する、重要なホルモンがあります。
具体的には、「セロトニン」、「オキシトシン」、「ドーパミン」です。

今回は、これらの脳内ホルモンの働きを通じて、トレーダーのマインドセットに
ついてお話します。

トレーダーのマインドセット

トレーダーとして成功するためには、まず適切なマインドセットを持つことが
大切だと考えます。

具体的には2つのことがあると思います。

一つ目は株式トレードの心理戦を理解することです。
具体的には株式取引とは何か、どのような仕組みになっているのかを明確に理解する
ことです。

二つ目は、自分自身を知り、自分自身の長所と短所をコントロールできることです。
自分自身をコントロールする方法は人によって異なると思います。
自分に合った方法で、トレーダーは現実的な期待を持ち、リスクを認識して、
リスク以上のリターンが狙える場面のみ、戦うことが求められます。

3つの脳内ホルモン

3つの幸せホルモンである、「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」
について少し解説します。

「セロトニン」は気分を司り、人の幸福感に関連します。

「オキシトシン」は、社会的な絆を司り、他人との関係や社会的相互作用に
関与しています。

「ドーパミン」は、脳の報酬系に関与し、社会的成功や金銭的成功に強く関わります。

これらの感情はどんな人にも存在するものです。
そして、3つのホルモンがピラミッドのように階層上になっていることで、
安定した人格が作られます。

最下段は「セロトニン」であり、
その上が「オキシトシン」、
最上段が「ドーパミン」です。

そして、ピラミッドのように最下段は大きく、上段に行くほど小さなものになるべきです。

「ドーパミン」がもたらす、達成感や全能感は強烈な刺激であり、
その刺激を支える土台がしっかりしたものでないと、自分の心を適切に保てなくなります。

トレーダーが陥りがちなドーパミンの暴発

ドーパミンは脳の報酬系を担っていることを記しました。
これは幸せや社会との繋がりといった、ふんわり湧き出てくるものとは違った、強い感情です。
さらに中毒性も高いと考えられます。

トレーダーが利益を上げると、ドーパミンが放出され、トレーダーは良い気分になります。
そのため、トレーダーはしばしばドーパミンの暴発と呼ばれる状態に陥ることになります。
これは、トレーダーが大儲けして最高の気分になり、「自分はなんでもできる」という
全能感を味わっている状態です。しかし現実にはそんなことはないのです。

その結果、「ドーパミン」の爆発は、過剰なリスクを取ることにつながってしまうのです。

長く生き残っているトレーダーほど、この全能感をコントロールできる技術を
持っています。
途中退場しないか、長く生き残れるかの違いは、「ドーパミン」のコントロール能力に
左右されるといっても過言ではありません。

トレーダーが持つべきマインドセット 意図的に人とつながること

トレーダーとして成功するためには、適切なマインドセットを持つことが
大事なことをお伝えしました。
さて、このマインドセットはどうすれば身につけることができるでしょうか。

二つほど感じていることがあります。

一つ目は「自分は何をしていて、どんな感情に支配されているのか」を
認識できる能力を持つことです。
自分の心の中のドーパミンの働き方を知って、コントロールできるように
トレーニングしていくことが重要です。

二つ目は、「セロトニン」や「オキシトシン」が作っている「自分の心の土台」を
強固にしておくことです。

具体的には、
株式取引とは何か、どのような仕組みで売り手と買い手の心理は
変化していくか、を明確に理解すること。
また、自分自身を知り、自分の長所と短所を理解することです。
それらを踏まえて、トレーダーは現実的な期待を持ち、適正なリスクを
取る必要性があります。

しかし、トレーダーである前に一人の人間であることを忘れてはいけないのです。

あなたができる重要なことは、意図的に他の人々とつながることです。
つまり、他の有能なトレーダーや人格者と関係を築き、彼らから学ぶことです。

トレーダーの心の崩壊を防ぐ方法

長い間勝ち残っているトレーダーはあなたにない、独特のマインドセットを持っている
ことに気づきます。
彼らから学ぶことは、勝つ手法よりも冷静なメンタルだと思います。
利益を上げているときも、損失を抱えている時も冷静にその事象を見つめて、
自分がやるべきことを淡々とやる。
長く生き残っている人が特殊な技法を持っているのではなく、
自分の感情をコントロール出来ていることがすごいことなんだ、
ということに気づくはずです。
巷に溢れる「爆益を上げた方法」・「爆益をあげた人」に躍らせれることなく、
コツコツと利益をあげている人のマインドを習得すべきだと思います。

そうすることで、トレーダーは自分の心が崩壊するのを防ぐことができるのです。

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コメント

  1. ひろみ より:

    今回も興味深く読ませて頂きました。私もトレーダーですが初心者の頃は少し利益を出しただけで気分が高揚して
    その後大失敗を繰り返して、メンタルの重要性に気付き独学で勉強してます。これからはこちらのブログも
    参考にさせて頂きます。

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